銀杏BOYZ

July 14, 2016

世界平和祈願ツアー2016

 2016.7.14 @広島クラブクアトロ

Report:Miyaco/Photo:村井香

 

 

 

11年ぶりの広島公演となった。誰かの人生に何かが起きたり変化したりするには十分な時間だったと言っていいだろう。あの日あの場にいた全員が、感情をうねらせたり絶望したり浮き足立ったりしながらそれぞれの日々を積み重ねていて、そんな中で、この日この場所へ足を運び集合しているという事実。銀杏BOYZはそんな当たり前のことが実に貴重なことだと認識させてくれるような、「この瞬間にこの場所でこの1曲を聴けることの幸せ」を噛み締めさせてくれるようなライブを見せてくれた。

 

暗転した会場に轟く歓声。ステージに上がった峯田は上着のフードを深く被り、なかなか顔を見せない。おもむろにアコースティックギターを担いで、マイクの前に立ち、ようやくゆっくりとフードを外した。ステージ後方には白いスクリーンがあり、歌う峯田の表情がリアルタイムでVJとして映し出される。映像の中にいる峯田の大きな目、それを背負いながら放たれる峯田の歌声は、迫力、生気が溢れていた。

 

「11年ぶりにここ広島クラブクアトロに来ました。広島に来られない間に落ち込んだこともあったけど、音楽を止めようとは1秒たりとも思わなかった。またここで歌えて本当に幸せです」と話してくれた峯田。1曲目が終わる頃には既に、からだは汗で湿って、瞳は潤んでいるように見えた。

2曲目の途中でバンドのサポートメンバーが登場し位置についた。峯田はギターを下ろしハンドマイクを握る。真っ赤なライトのなかで峯田は、そのマイクを額に何度もぶつけ、直視できないような痛々しさを伴う鈍い音が会場に響いた。VJが作る幻想的な光がオフになり真っ白なライトが明るくステージを照らすと、バンドサウンドが銀杏BOYZのライブに新しい活気をもたらした。

口元から流れる涎を拭うこともなく、一曲一曲に感情を濃厚に染み込ませて、峯田は歌い続ける。その目にはどうしようもなく大きな説得力が宿っていて、見ている方も拳にグッと力が入ってしまう。

 

峯田はこの日、広島という街が歩んできた歴史に対するリスペクトを幾度か語った。「戦争が起きたらこの曲はなくなってしまうのだろうか、僕は死ぬまで歌いたいだけだ」と前置きされた“I DON’T WANNA DIE FOREVER”でフロアは最高に入り乱れ、この日の盛り上がりはピークを迎えたかと思われた。しかしその直後、“BABY BABY”がその空気を軽く超えていった。イントロで「やっと広島でこの歌を歌えるぞ!」と叫んだ峯田と、それを待ち続けたオーディエンスの気持ちが派手にぶつかり大爆発したのだ。途中、峯田が感極まって歌えなくなり、オーディエンスの特大シンガロングがそれを支えるというシーンが生まれ、胸が痛いほど熱くなった。

 

全てが終わったとき、満身創痍でステージに倒れ込んだ峯田の姿がこの日のライブを象徴していた。「どんな手を使ってでも生き延びて、また夢みたいな空間で会いましょう」と言い残した彼の言葉、いつになるともわからないその日を信じて待ち続けられる気がした。

 

 

 

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